「リトルファームHOMMOKUもくり」を訪問しました
猛暑の8月2日、横浜市の中心部に近い中区本牧地区の住宅街を歩いていくと小さな看板が出ていました。細い脇道を抜けると目の前に色とりどりの花やハーブ、野菜畑の緑・緑・緑の風景が広がります。住宅街の中なのに、レトロな赤い屋根の建物と相まって、懐かしいようなほっとする不思議な感覚にとらわれる場所でした。
「リトルファームHOMMOKUもくり」運営委員会代表の今関喜代子さんにお話を聞きました。
(大池玲奈)
懐かしいおばあちゃんの家に帰ってきたような雰囲気の室内。クーラーはないが、緑の庭を通ってきた風が吹き抜ける。
◆空き家提供を受けて
2016年末に「WEショップ」が加盟する商店会の会長さんから「空き家になっている実家を地域のために使ってほしい」と相談されたことが発端です。畑をやってみたいというメンバーがいたので、みんなで草ぼうぼうだった庭を掘り返し、石を除き、畑に整備。2017年はきゅうり、ミニトマト、ナスなどが大豊作。順調に野菜が育ったことに気を良くして本格的に活動の検討を始めました。
商店会やボランティアの有志を中心に運営委員会を立ち上げ、空き家活用を区役所に相談。空き家対策NPOを紹介され、学習会なども実施。商店会の工務店や畳店などの協力を得て耐震補強し床を張替え、みんなで古い玄関戸や窓枠、柱、天井等をピカピカに磨き、壁を塗り、見違えるようになりました。家財道具などの寄付もあり、大ぜいの協力を得て2018年10月にオープンしました。
◆もくりの活動
利用料200円で何時間でもいられる、というのが基本です。あとは場所貸しや自主企画の習い事(手芸と書道)。忍者教室をやったこともあります。自分の持っているスキルをワンコイン程度の受講料で提供してくれる方に講師をお願いしています。
コロナ禍前は畑で採れた野菜を使いみんなでご飯をつくって食べる活動をやっていましたが、現在はお休み中。商店会にあるコミュニティカフェの協力で、「もくり」の庭で採れた夏みかんのマーマレードや野菜で資金集めをしています。2020年はみんなでマスクも作りました。
枝豆や珍しい種類のインゲン、ピーマン、ミニトマトなどが育つ畑。手作りのピザ窯もある。
◆みんなで一緒につくる居場所
空き家の提供から始まった居場所なので、いろんな人にこの場所を好きに使ってほしいと思っています。どんどん新しい人が入って、やりたいことをやってほしい。
現在運営委員は10人ですが、世代交代も進んでいます。今後の組織づくりをどうするかを思案中です。
「もくり」をよく利用する子どもたちが提案し、近くの小学校2年生のクラスが野菜づくりの勉強に来たこともあるそうです。当日は「その子たちがドヤ顔で先頭を歩いてきたのよ(笑)」という今関さんの言葉は、「もくり」があの地域に根付いていることが感じられて印象的でした。「居場所はここだけじゃなくていい。地域にたくさんあることが大事」とおっしゃっていました。