逗子ゼロ・ウェイストの会

全員参加による地域未来創造機構では2023年度に20のアソシエーションにヒアリング調査を行いました。その内容をアソシエーション情報でご紹介します。(情報は取材時のものになります)

2009年5月、廃棄されてしまう資源の回収や資源の有効活用、焼却に頼らない廃棄物処理の実現などにより、持続可能な資源循環型社会を構築するための組織として逗子市で設立

活動内容:エコ広場ずし、フードドライブ、出張エコ広場、リペアカフェ、エコワークショップ、キエーロほか

共同代表:田中尚武さん・海野保子さん

取材日:2024年7月24日

取材者名:大杉恭子(福祉クラブ生協)、菅原順子(NPO法人全員参加による地域未来創造機構

画像はホームページずしゼロ・ウェイスト (zushizerowaste.wixsite.com)からの転載


ゼロ・ウエイストは、困りごとをシェアするたすけあいの活動・・・・・・

 逗子ゼロ・ウェイストの会の新たな拠点となった「エコ広場ずし@仲町橋(赤い橋)」で共同代表田中尚武さん、同海野保子さんのお二人に話を聞いた。猛暑だったが、古民家の中は扇風機だけでもしのげるほど。5人ほどのメンバーが、着物や婦人・紳士・子供服、おもちゃ、食器類等の持ち込み・持ち帰り自由の「もったいない市」の運営や、集まった着物の整理などをしていた。

 この会は、最初の代表となった松本真知子さんが(生活クラブで瓶の回収をやっていた)、ごみ問題を何とかしたいと逗子市議会議員になり、ゼロ・ウェイスト宣言を日本で初めて行った徳島県上勝町を視察。市役所玄関脇(後にホール内)で不用品を持ち寄って交換するという活動を開始した。

新たな拠点

「エコ広場ずし@仲町橋(赤い橋)」


和室を改装して展開する

「もったいない市」

 ゼロ・ウェイストとは、モノの無駄遣いをせず、リデュース・リユース・リサイクルなど7Rを進め、また生産段階から処理に困らない製品をつくることで、焼却・埋め立て処理されるごみをなくしていこうという理念。この理念に基づき、2009年5月8日、廃棄されてしまう資源の回収や、資源の有効活用、焼却に頼らない廃棄物処理の実現などにより、持続可能な資源循環型社会「ゼロ・ウェイストのまち逗子」を構築する事業を、逗子市及び市内環境諸団体・市民と協働するための組織として任意団体「逗子ゼロ・ウェイストの会」が設立された。海野さんは、ごみ問題を入り口としたこの活動は、困りごとを互いにシェアするたすけあいの活動だと強調した。「シルクロードと同じで、ものと人が動くことで、コミュニティができ、人のつながりができる」という。


 その言葉通り、さまざまな活動団体と15人ほどの「エコ広場ずし運営委員会」を形成し、エコ広場ずし、フードドライブ、出張エコ広場、リペアカフェ、エコワークショップ等の活動を続けてきた。運営委員会は毎月開催し、毎回12~13人の参加があるという。

 

公共スペースから追い出されても「ごみ減量年間4.2トン」・・・・・・・・・・・・・・・

   2012年から市庁舎内で不用品を持ち寄って交換する「エコ広場ずし」を3~4年間開催し、2015年に市民交流センター(逗子文化プラザ内)に移った。その後、市の施設を「特定の団体」が使い続けるのはよくないということを理由に市民交流センターが使えなくなった。3,500人余りの署名運動、100人集会などを行って反対したが、2019年に「追い出された」。

共有スペースで着物の整理


沼間公民館での出張エコ広場

  その後桜山地区で2年間活動したが、場所が不便なこととスペースが狭いことから新たな拠点を探し、現在の場所を借りることができた。7月から毎週月曜日10:00~15:00「エコ広場ずし@仲町橋(赤い橋)」を開催。この拠点は、「逗子市空き家プロジェクト(都市計画税・固定資産税免除となる)」第1号の一戸建て物件の一部屋であり、無償で借りている。オーナーは市民運動に理解のある人で、ご自身も傾聴ボランティア、オレンジカフェなどを主宰。

 毎年度活動報告会を開催し、活動報告・決算、活動計画・予算案を決議している。「エコ広場ずし」の活動では、月に6回~10回持ち込まれたもの、持ち帰られたものすべてを計量し、毎年詳細に集計し、「ごみにならなかったもの」を可視化している。2022年度の年間持ち込み量4.2トン、持ち帰り量3.7トンにもなる。

 「エコ広場ずし」のものを来場者が持ち帰る際に寄付していただく小銭が活動の重要なポイントで、「もったいない市資源化協力金」として計上。2021年度約30万円、2022年度は36万円あまりが活動資金となっている。その他かながわ生き活き市民基金からの補助金、神奈川県基金21からの奨励賞等で活動を賄っている。

 逗子市では生ごみを燃やさず分別することを考えているが、その一環として逗子市商工会とともにキエーロ (維持費ゼロの一押し家庭用生ごみ処理容器バクテリアdeキエーロ) 等の普及に協力している。環境・ごみ問題を串刺しにしてさまざまな団体がつながって「逗子ゼロ・ウェイスト」の活動をつくっている。 

(大杉恭子)