全員参加による地域未来創造機構では2023年度に20のアソシエーションにヒアリング調査を行いました。その内容をアソシエーション情報でご紹介します。(情報は取材時のものになります）
2019年5月横浜市中区本牧満坂で立ち上げ
そといく(外育・外行く)会は、子どもの健やかな育ちのためにそと(屋外)でのびのび遊ぶことを推進する。
孤立しがちな育児をそと(地域)へと広げ、困ったときはおたがいさまの精神で様々な世代がたすけあい育ち合う事をめざす。
代表：田村真智子さん
取材日：2023年7月19日
取材者：奥村まゆみ（NPO法人全員参加による地域未来創造機構）
写真：左から 田村真智子代表、鈴木衣さん、東幸子さん、松田佳子さん。この日はいなかったが、もう一人のスタッフは齊藤夏実さん。「ちびもくファーム」では鈴木義孝さんが週末ボランティアをしている。
写真はfacebookから転載
孤立しがちな育児をそとへと広げる ・・・・・・・・
7月の真夏日に訪問。「そといく会」が拠点にしている横浜市本牧のアパートは緑の多い住宅街の一角にある。10年ほど前、代表の田村さんが子どもたちに外遊びをさせたいと、「外遊び保育どんぐりん」を開いた。その頃は「森のようちえん」(自然体験活動を基軸にした子育て・保育、乳児・幼少期教育の総称)が全国的に展開されていた。「お母さんは子どもと離れる時間をもち、子どもも他の子とのびのびと屋外で遊ぶ。孤立しがちな育児を外へと広げることが必要」という考えから、母子分離の預かり保育(2時間)を始めた。
「そといく会」として新たなスタート・・・・・・・・・
活動を始めて5年くらいたった時に参加人数が減ったことや、運営の難しさなどから田村さんは「どんぐりん」を閉じることも検討した。スタッフやお母さんたちなどに相談し、「続けてほしい」という中で「続けていくなら組織がいい」と意を決し、「そといく会」を立ち上げるための準備を開始。2019年5月に任意団体として拠点となる場所を借りてスタートした。
スタッフは「どんぐりん」の時からそのまま移行した。スタッフは、募集したというより、田村さんが区の子育て支援者をしていた時に繋がった人たちが中心になっている。
「どんぐりん」のスタッフは、「責任をもって預かる」という意識を持ってもらうために
保護者から謝金をいただいている。活動していくうちに子どもも、親も変わっていくことが目にみえるし、スタッフも楽しみながら、やりがいにもなっている。これが「義務でお仕事」になると続かないと思っている。
スタッフを増やすにあたっては、子どもに対しておおらかに付き合ってくれる人を望んでいるという。外あそびで危険も伴うので、目が行き届いてはいても、「あれは危ない」「これは危ない」と抑制はしない人…そういったことを考えると誰でもいいようで、だれでもいいわけではないので難しいそうだ。子どもが動きやすいように荷物はすべてスタッフが預かる。また、動きやすくするためにおむつでなくパンツにするが、着替えなどの荷物が多くなり、子どもを見ることと合わせてスタッフはかなりハードな仕事になる。
ちびもくファーム
「ちびもくふぁーむ」をはじめる・・・・・・・・・・・
活動している地域は、周りに子どもたちが自由に土に触れられるような場所や畑もなく、自然があるのは公園だけというエリア。子どもたちが土に触れたりできるような体験をさせたいと現在の拠点で「ちびもくふぁーむ」をはじめた。「ちびもくふぁーむ」の畑は自然農法に近い無農薬栽培で野菜を育てている。「大人が強くかかわりすぎると子どもは手を出せなくなるし、その加減が難しい」と、あくまでも子どもを主に置いた活動姿勢。
「そといく会」の活動は、地域の子ども・子育てニーズの隙間を埋めるもので、横浜市の子育て支援制度の枠組みに当てはまらないスケジュールや設備で活動をしている。そのためか、いま受けられているのは中区の「なかくふれあい助成金」だけ。
活動内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〇外あそび保育「どんぐりん」
毎週火曜日午前中開催。本牧の自然に近い屋外で2歳から未就園児を預かり、散歩を中心に遊ぶ。
○親子の居場所「ぽかぽか」
拠点にて毎週水曜10:30～13:00開催。室内で親子がゆっくりと過ごしリフレッシュできる空間。
○子どもと菜園「ちびもくふぁーむ」
土曜日開催。拠点横の小さな菜園。土づくりから種まき、植え付け、収穫体験まで。食育、おやつ作り、季節行事の開催。
「そといく会」の年会費は1000円。会員は親子で去年24組、今年は22組。
「どんぐりん」は利用料を設定しているが運営は厳しい。
（奥村まゆみ）
拠点：親子の居場所「ぽかぽか」