NPO法人あかり

 全員参加による地域未来創造機構では2025年度に第2期アソシエーション活動実態調査として、WEBアンケートを行うとともに、20のアソシエーションにヒアリング調査を行いました。その内容をアソシエーション情報でご紹介します。(情報は取材時のものになります)

理事長:森田佳重

設立年月:2024年5月(法人設立)

設立の目的:「横須賀の街にあかりを灯す」を理念に、地域のメンタルヘルスや障害者の親亡き後問題への解決に向けて市民の力を結集した取り組みを行い、人々が生きやすい地域づくりを進めていく。

主な活動内容:1.リカバリーカレッジ事業

2.成年後見人、保佐人、補助人、任意後見人の受任にかかわる事業

3.その他法人の目的を達成するために必要な事業

取材日:2025年6月4日 

取材者:奥村まゆみ・兼清 明(全員参加による地域未来創造機構)

1回階段脇には案内看板が



 横須賀の汐入から歩いて2分ほどのところの利用しやすい場所にある、リカバリーカレッジの会場としても使われているNPO法人あかりの事務所で理事長の森田さんからお話を伺いました。

1.設立にあたっての思いと設立時の経過

 理事長の森田さんは3年ほど前まで横須賀市保健所で保健師として38年間公務員をしていました。現役時代からこころの問題は保健所だけではフォローできないと思っていましたが、2020年に新型コロナウイルス感染症対策担当部長となり、職員も疲弊しこの先が心配となるほどで、こころの問題のフォローをしていきたいという思いを強くしました。

 森田さん自身ストレスが体に出るようになり、攣縮性狭心症(疲れがひどくて心臓が痙攣する)の疑いで、無理をしないようにといわれました。そんな頃に、九州でリカバリーカレッジを立ち上げる教授のお手伝いをするようになり、オンラインで自分も受講しました。コロナや仕事は変わらないのに、具合が良くなり心が健康になったと感じました。リカバリーカレッジはこれまで神奈川県にはなく、退職を機にこれまでお世話になった横須賀から発信したいと思い立ち上げました。

 リカバリーカレッジとは、当事者、支援者、誰もがみなが同じ立場で学び合う中で、立場を超えたCo-production(共同創造)をする場です。もう一つの法人後見は親亡き後問題を解決する取り組みです。


2.設立からの活動の変遷

 設立メンバーには保健所に先輩で精神保健福祉士を取られた方、汐入メンタルクリニック院長から紹介された精神保健福祉士の方との3名を核にした10名で、就労支援事業所の相談員やグループホームの管理者の方もいます。この4月からリカバリーカレッジを開講しましたが、設立当初は関係機関から紹介された当事者の方を中心に、来た人を元気にしたいという思いで準備を進めてきました。ですがアソシエーション交流会での問いかけから、みんなで話しあった結果、来た人には元気になってもらう事はもちろんだが、それ以上にリカバリーカレッジという文化を横須賀の地に根付かせ、この街を豊かに、暮らしやすい街にしていきたい、という思いに行きつきました。そこで、リカバリーカレッジの認知度を上げるために開講前に体験講座を開催し、その様子をタウンニュースに取り上げてもらえるなどの経過を経て、4月からの受講者も集まり開講に行きつきました。


3.現在取り組んでいる活動の紹介

 中心となり活動を始めた3名と、賛同して一緒に立ち上げたメンバーが交代で講師などを務めていますが、外部講師の育成に取り組んでいます。条件はどこかでリカバリーカレッジを受講したことがある人という事だけです。事前に講習を受けていただき、リカバリーカレッジヨコスカの考え方や講師としてのスキルを学びます。また、来年からはピアサポートといって、リカバリーカレッジを卒業した当事者の方にも運営や講師としてかかわっていってもらいたいと思っています。

 

2つのハートをつなげたロゴは男の子と女の子と思われがちだが、ピンクがリカバリーカレッジ、ブルーが法人後見を表してる。

画像はホームページ

リカバリーカレッジ ヨコスカ | NPO法人あかりより転載


あかりの事務所兼リカバリーカレッジ

テーブルに置いている小物も、心を安らげる小道具の一つ

4.現在の課題とその克服のために取り組んだこと、今後強化したいことや新たに取り組みたいこと

 日本では、こころの問題は医療機関か、福祉事業所が対応の中心となり、教育的なアプローチが制度としてなく、広がりにくいという事があります(補助金がない)。これまで日本で立ち上げられてきたリカバリーカレッジはどこか母体(大学の研究室や福祉施設等)があって、公益事業(ボランティア的な活動)としてやっていることがほとんどです。

 あかりは、今年度、横須賀市の市民協働推進補助金の交付(1年ごとに申請・上限50万円・3回まで)が決定しました。補助金は運営費(講師料・消耗品等)にしか使えませんが、この間は市と協働して活動できるのでその3年間で軌道に乗せられるかが勝負だと思っています。市民協働推進補助金はお金もさることながら市と協働できることが強みです。市も、精神保健は地域の課題であり保健所とも密接な関係もあるという認識を持っており、8月には保健所の事業として「リカバリーカレッジ体験講座」を行うことになりました。出来ればこの3年間で市の公共事業として委託、補助事業となれるように、いろいろとアプローチしていきたいと思っています。


5.ヒアリング担当者の所感

 森田さんはご自身の体と心の不調と職場での体験から、リカバリーカレッジを広めたいという強い思いを持たれて、それを実現するために共感する仲間を見つけるなど、静かな語りの中にもいきいきとした力強さを感じました。メンバー間とのコミュニケーションもよく取れ、今後の運営や、あり方も検討を進めていることを感じました。また、リカバリーカレッジは主体性と対等を担保できるかが大切と語り、協働・共同創造という理念を話されていました。普段の生活、対話の場面でも必要な考え方であり、あかり、リカバリーカレッジを通じて協働・共同創造を広げていってほしいと思います。オンラインは行わず、対面の場で地域に根差したリカバリーカレッジを目指している森田さん。長く横須賀で働いてきた森田さんだから作れる、横須賀のリカバリーカレッジができると思いました。             

                (おくむらまゆみ)

あかりのロゴが彫ってある花瓶(受講生作)


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