全員参加による地域未来創造機構では2025年度にWEBアンケートを行うとともに、20のアソシエーションにヒアリング調査を行いました。その内容をアソシエーション情報でご紹介します。(情報は取材時のものになります)
代表:関 邦子(理事)
設立年月:2019年11月設立、2020年9月法人取得
設立の目的:相模原市近隣の子どもたちに対して、栄養価の高い食事に加えて、進学するための学習指導と学習するための場を提供する事業を行うことによって、「貧困の連鎖」を断ち切り、子どもたちが夢と希望をもって心身共に成長して行ける社会の実現に寄与することを目的とする。(定款より)
主な活動内容:●月曜から金曜の夕方4時半から7時まで無料で温かい食事と学習支援、居場所の提供
●ボランティアが「学校から帰っても親の帰りが遅く一人で過ごしている時間がある。」「食事を一人で食べる時がある。」「宿題を見てもらえない(あげられない)」といった子供達に温かい手作りのご飯と宿題などの学習支援を提供している。
取材日:2025年7月2日
取材者:森 洋子(さがみ生活クラブ生協) 菅原順子(全員参加による地域未来創造機構)
相模大野駅からにぎやかなショッピングモールを抜け、商店街や住宅街をしばらく歩くと砂利を敷き詰めた神社の境内が見えてきた。神社の建物の2Fにあるキッチン付きで、10数人ほどが座れるテーブルと椅子がある部屋が現在の認定NPO法人てらこや食堂ラッキーズの拠点となっている。代表理事の関邦子さん、理事の古谷尚洋さんと安藤なぎささんにお話を伺った。
故人の思いを引き継いで
この活動を始めたのは、相模大野で長年にわたり美容師として働いていた 故:石井とし子さん。テレビでふと目にした子どもの貧困問題に心を動かされ、「コツコツと積み立ててきたお金を、地元と子どもたちのために役立てたい」と、2019年11月に食事と学習を支援する「てらこや食堂ラッキーズ」を設立。月曜から金曜の夕方4時半から7時まで無料で門戸を開く活動を始めた。その翌年にはNPO法人格を取得。個人の活動ではなく、将来まで継続していくことが重要という石井さんの強い意思があった。
石井さんが2022年に亡くなられた後も、その想いを引き継いだ関さんをはじめ古谷さん、安藤さんたち理事運営メンバーたちが活動内容を変えることなく毎日(土日祝日は休み)開催してきた。さらに2024年12月には公益性が高く、適正な運営が求められる認定NPO法人および相模原市の指定NPO法人となった。石井さんが地域で長年培ってきた地域のネットワークは、その後も多くの人の寄付や支援などの形で継続されているという。
左から安藤さん、関さん、古谷さん
調理中
家庭や学校とも違うナナメの関係ができる場所
てらこや食堂ラッキーズは、一人で過ごすことが多い子どもたちが手作りのご飯をみんなでいっしょに食べたり、お兄さんやお姉さんが宿題を見てくれたり、遊んでくれる子どもたちの居場所。
現在小中学生25~26人が利用登録し、実際の参加は17人~18人、毎日10人前後が来ている。保護者同伴で見学に来てもらい、この活動の主旨を説明した上で登録してもらっている。小中学校はみんなそれぞれ。年齢が違っても仲良くいっしょにご飯を食べ、外遊びで思い切り体を動かして楽しく過ごす。ここは家庭とも学校とも違うナナメの関係ができる場所。
社協との連携やスクールソーシャルワーカーとの連携もできていて、家庭内の難しいケースなども学校や児童相談所との連携にもつながっている。
たくさんの人々の思いが集まってできている
食事は、あらかじめ卵の日など大まかな6種類のメニューを決めて5日間で回しているが、食事担当のボランティア3人がその日にある食材を見て何をつくるかを決める。週に1回はカレーの日。
食材は週末にNPO団体が拠点に置いてくれるものを配送のボランティアが交代でここまで運んでくれる。企業がこちらの要望に沿って肉や魚を購入し、届けてくれる。農家から野菜や米が届く。年間の食材費は20万円ほど。「そういえば毎日なのに食材費が少ないとよく言われる」と関さん。現物で寄付してもらっていることが多いので、換算したら実際の寄付金の金額より多いのではないかという。地域の信頼がある。
ボランティアメンバーは50人以上で、理事14人と監事1人。「食事」が3人、「学習」が3人のシフトを組んで活動している。学習ボランティアは学生が多く、子どもたちとの外遊びには学生の参加は必須だそう。
仕事の休みの日にボランティアに来てくれたり、ここに来ていた中学生が高校生になったらボランティアしたいといって、実際高校生になって来てくれるのがうれしいと話す3人。地元のロータリークラブがイベントに招待してくれたり、関係者の家の庭でのバーべキューなど子どもたちの体験の機会を拡げることも続けている。
今年のバーべキュー
画像はホームページより転載 NPO法人 てらこや食堂ラッキーズ |
手作りの美味しい食事を週5日
画像はホームページより転載 NPO法人 てらこや食堂ラッキーズ
ヒアリング担当者の所感
「お菓子しか食べなかった子が食事を全部食べるようになったり、ひとこともしゃべらなかった子がしゃべるようになったり、子どもの成長が感じられることがうれしい」と大学院で石井さんと知り合ったという若い古谷さん。この活動に初めから関心があったわけではなかったという。安藤さんも「原動力は子どもたちの成長がみられること。日々の関わりが自分の居場所にもなっている」という。日々の細かいことから保護者や学校、行政等との連絡や調整、認定や指定NPO法人の事務等、膨大な仕事量があると思うが、平日は毎日その日にある食材からボランティアが3人で食事をつくり4時半から6時まで、主に学生ボランティアが来て学習支援をしていること自体が驚き。取材している間にも次々とボランティアの人たちが来て食事をつくり始め、高校生のボランティアも続々と入ってきた。中にはラッキーズの卒業生もいる。
ボランティアの人たちが、自主的・主体的に参加できるのは、みんながラッキーズの活動の意義を理解し、実際に子どもたちと接する中で感じられるうれしさや感動があり、さらに組織的に運営できているマネジメントの力も大きいのではないかと感じた。 (もりようこ)
ホームページはこちら NPO法人 てらこや食堂ラッキーズ

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