동그라미(トングラミ)

校内の掲示板には市民団体「トングラミ」の紹介が
校内の掲示板には市民団体「トングラミ」の紹介が

日本政府は、2010年に開始した高校無償化制度から、在日朝鮮人の民族教育機関である朝鮮高校の生徒を排除した。国連の人権機関からは朝鮮高校生の除外を「差別」と断定され是正を求められ続けているが、政府はこれを拒み、新型コロナウイルス感染対策で新設した教育・生活支援制度からも朝鮮学校とその生徒を除外するなど、朝鮮学校を対象外にする方策を取り続けている。「学校保健法」 も「学校給食法」も対象外のため、保健室も給食室もないという現状にある。  (取材:野村美湖)                     


 そんな日本にあって、今年、川崎朝鮮初級学校(2歳児~小学生)で給食を作る市民ボランティア団体、동그라미(トングラミ)が立ち上がり、活動を開始した。代表の平賀 萬里子さん、ボランティアに参加している𠮷田 みつるさん、インタビュー場所をお借りしたふれあい館の崔 江以子(チェ カンイジャ) さんにお話を伺った。

 

打ち合わせをする平賀さん(左)と吉田さん
打ち合わせをする平賀さん(左)と吉田さん

 元々日本と朝鮮をつなぐ在日の歴史に興味があり、新大久保の高麗博物館でボランティアをされていた平賀さん。同じ日本に暮らしながら、学校給食法の適用対象外で給食がない、という日本の国策による朝鮮学校の子どもたちへの差別を知り、何か自分ができることを、と考えていたという。

 ふれあい館を運営する社会福祉法人青丘社の理事長三浦知人さんに、「市民で給食を提供する活動がしたい」と相談したところ、「おお、いいな!ぜひやれよ!」との賛同を得て、三浦さん、木瀬慶子さん、趙 弘子(チョウホンジャ)さんと4人で、동그라미(トングラミ。韓国語で丸・円・いつまでも切れることなくつながる、の意味)を立ち上げた。「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」の集会での、ワンコイン500円の会員・給食作りボランティア会員の登録呼びかけを皮切りに次々と賛同が広がり、今では無記名も含めると会員は200人を超えるが、常にパンプレットと手作りの会費納入袋をセットで持ち歩き、会員拡大の声掛けも欠かさない。

年会費500円の集金袋
年会費500円の集金袋

  「トングラミ」の活動は月1回、15人程の市民ボランティアで生徒38人+先生やボランティアも含め60食をつくる。月に1度、生徒のお母さんたちで作る「オモニ会」の給食と被らないように献立を調整して決めているが、直前に提供された野菜などの食材でおかずが増えることも。切り干し大根やアジフライなど、普段の食卓では口にしないような献立もあり、良い食育の機会にもなっている。崔さんは、「中高生くらいになると、差別されること、そしてそれを諦めることが当たり前になってしまうが、こういった市民活動とのふれあいの経験が、在日の子どもたちが人を信じる力、拠り所になると思っている」という。

 𠮷田さんが、「80歳になってもあるんだな、何とも言えない気持ち、声をかけてくれた人に感謝しています」と、知識ではなく現場に来て自分の目で見て確かめることの大切さを語ってくれたのも心に残った。   

 

2歳児用の昼食
2歳児用の昼食
小学2年生の教室で
小学2年生の教室で
廊下に並んだ小学生に配膳する市民ボランティアの皆さん
廊下に並んだ小学生に配膳する市民ボランティアの皆さん

追加参考資料(東京新聞) :https://www.tokyo-np.co.jp/article/197985