コンアニマ~吃音を持つ学生による音楽集団~

 11月5日(日)、川崎市総合自治会館(中原区)で、吃音を持つ学生による音楽団「コンアニマ」によるイベントが開催された。映画「注文に時間がかかるカフェ~僕たちの挑戦~」上映会、出演者によるトークショー、そして吃音を持つ学生による音楽団コンアニマの音楽ライブの3部構成のイベントだ。 主催者の喜多龍之祐さん(高校二年生)にお話しを伺った。       

(取材:野村美湖)

注文に時間がかかるカフェ映画化まで

 今から約2年前、高校受験を間近に控えたある日、インターネットで吃音に関連するイベントをやっている奥村安莉沙さんのことを知った。親にも相談して直接連絡を取り、奥村さんが「注文に時間がかかるカフェ」(以降彼らの表現を借りて「注カフェ」と表記)を全国各地で開催していることを初めて知ったという。その後、オンラインから打ち合わせを重ね、2022年夏に川崎市で「注カフェ」の開催を実現した。

 この注カフェ開催前後を撮ったドキュメンタリー映画が「注文に時間がかかるカフェ~僕らの挑戦~」だ。


 代表の喜多龍之祐さん

映画の出演者であり、コンアニマのメンバーでもある喜多さんが自身の吃音に気づきだしたのは小学3年生。音楽という表現方法の魅力を感じ、小学4年生でスティールパンに出会って以来演奏を続け、中学・高校では吹奏楽部・軽音楽部で打楽器を演奏している。

吃音を持つ学生による音楽団体コンアニマの活動

 映画に出演した、自身を含む3人の学生が音楽をやっていて「一緒にやりたいね」という話になり、コンアニマの活動を始めた。その後、別の地域で開催された注カフェ参加者からも2人のメンバーが増え、約半年間の練習期間を経て11月5日に5人で初ステージに立った。

 団体名はイタリア語で「魂・自分の思いを込めて」といった意味があるコン アニマ(con anima)からとった。楽曲をどのような想いで演奏するのかを指示する発想(曲想)標語(記号)の1つ。団体名の付け方を吹奏楽の先輩に相談したところ、音楽用語の中から選ぶ方法を教わり、探す中で自分たちの思いにピッタリだと見つけたという。


活動する中で変わったこと

 吃音者の割合は100人に1人とも言われているが、喜多さんの周りで同じような悩みを持つ人と出会ったことはなかったそう。しかし、素直に包み隠さず自分の思いを伝え、注カフェで同じように悩む人や支え合おうという人たちと出会えたことで、「直そう・隠そうとしなくてもいいんだ」と心が開放されたという。

 吃音者はオンラインイベントをやっている人が多いが、今回の企画をメディアが取り上げてくれたことで認知がひろがり、コンアニマのSNS(X 旧Twitter)に「活動に参加してみたい」というメッセージも届くようになった。


今後の展望

 喜多さんを含め、現メンバーは来年は受験や就職などの活動が控えている人も多いが、メンバーと作ったオリジナル曲を録音して発信したり、一緒にやりたいというメンバーと一緒にセッションを色んなところでやったりできたら、とコンアニマの次なる展開への思いを語ってくれた。また、喜多さんの進路については、吃音に何かしら関われる、心が解放されるような空間をつくっていける進路にすすみたい、とのこと。

 今後の活躍に期待し、エールを送りたい。

(のむら みこ)


 

コンサートで発表された、

コンアニマのオリジナル曲

 

歌詞の「震ぇながら口先で歌う」は「吃音の人は、一生懸命話そうとすると口がこわばる。それを表現した」という。それが後半、「晴れ晴れと口先で歌う」に変わる。「堂々とまではいかなくても、『吃音でもいっか』という感じでいられたら」という思いが入っているという。

   

コンアニマの活動を知りたい方はこちら

コンアニマ@吃音音楽団 (@kon_anima) / X

https://twitter.com/kon_anima

(X 旧Twitter)

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