まなぶばTREK (とれっく)

全員参加による地域未来創造機構では2023年度に20のアソシエーションにヒアリング調査を行いました。その内容をアソシエーション情報でご紹介します。(情報は取材時のものになります)

2021年4月1日、さまざまな理由で学校に居場所を見い出すことができなかったり、通うのが困難な子どもたちに、学校以外で安心して過ごせる居場所・まなび場を提供するフリースクールとして藤沢市で活動を始めた。

活動内容:フリースクール

設立代表者 野島しづ さん

取材日:2023年7月21日

取材者:佐野充  ((公社)神奈川県地方自治研究センター) 


まなぶばTREK〜共に自然を感じながら生き・食し・遊ぶ〜・・・・・

  設立代表者の野島しづさんが、藤沢で自主保育を立ち上げてから10年以上が経ち、この自主保育を主体に、小学校に進学した子どもの「学校の外でも安心していられる居場所づくり」を目的として、2021年4月1日にフリースクール「まなぶばTREK」を立ち上げた。設立時のメンバーは、3組の親子と我が子が不登校を経験した先輩ママさんであった。

 モットーは、「子どもも大人もありのままの自分でいられる安心できる居場所づくり」であるために、親(母親が多い)と子どもによる一体化した活動だ。子どもの見守り、世話は、活動日に参加した親が分担している。人手が足りない場合は、協力者の大人サポートスタッフ、ボランティアなどによる支援を受けている。大事にしている3つのことは、

1)子どもも大人もありのままの自分でいられる安心できる居場所があると、子どもたちは自らよく遊び、学び始める。

2)子どもたちが、自分で考え行動し、感じて、表現すること。

3)みんなちがうから、みんないい!でこぼこの個性が集うことと自然と豊かになっていく。

 キーワードは、「遊ぶ」「育む」「楽しむ」「まなぶ」である。


 活動は、大人が作ったカリキュラムを子どもたちに強要するのではなく、子どもたちとの関係を育み、それぞれの特性を理解しあいながら、子ども達と話し合うことによって自発的で主体的な学びを試みている。生活を営む知恵(食事作り・農作業・手仕事)、世界を知るための座学(読み書き、算数)、実験、身体を知ること、造形、身体を動かすこと、自然との関わりなどの多様な学びを、子どもたちの様子と意欲を見ながら「今より少し頑張ってみる」というスタイルで、自分の足で歩いていける自信を育てるために提供している。


 代表の野島しづさん、スタッフの柴田美里さんを中心に親たちが係に携わりながら運営しているが、今後拠点ができ、スタッフなどが確保できるようになった場合は随時体制を整えていきたいと考えている。現時点での運営は、レギュラーメンバーの親子、スポット(チケット)メンバーの子どもたち、大人サポートスタッフ、ボランティアスタッフに加えて、外部講師、居場所提供者などの協力で行われている。

対象:小学1年生~6年生  

 活動日:週4回・ 9:30-15:30(月・火・木・金)

会員:

レギュラー会員:10,000-20,000円 (週1回参加~週4回参加)  

チケット会員:(スポット) 5回分・11回分 

体験費:一家族単位受付

 参加メンバーの居住地は、藤沢市だけでなく、周辺の茅ヶ崎市、座間市などにも広がっている。子どもの特性、生活スタイルが、入ったフリースクールの運営実態と整合しなかったりして、行き場所をなくした親子が、口コミ・Webサイト・ファイスブック・インスタグラムなどを通じて、まなぶばTREKを知り、参加してくる。そういった親子を自然体で受け入れている。


 レギュラーメンバーになる前にお試しの家族体験やチケットメンバー制を用意している。広報活動は、人材不足、資金不足などから積極的に行っていない状況にあるが、規模を拡大するより、現在の活動内容を充実させることに注力している。

 なお、固定した活動拠点をもっていないため、メンバーが一体となり、そのための情報収集、不動産(空き屋)探しをしている。特に、雨天時の活動の場は、当番の大人メンバーの自宅を借りて活動していること、屋外活動を「藤沢市少年の森」のほか「茅ヶ崎里山公園」「引地川親 水公園」「茅ヶ崎市民の森」「辻堂海浜公園」などとしていることは、特筆すべき活動スタイであると言えるが、やはり、活動拠点(居場所)を固定したいと考えている。

 また、慢性的な人材不足にあり、人材確保が重要課題となっているが、現在、遊びと学びの中から自主的に活動に関わる人材が少しずつ出てきている状況にある。ボランティアの人材不足を補うための人材の循環(連繋)をつくろうとしている。


 週4回の活動で、少人数を対象にしているため、子ども一人一人の個性に合った活動ができている。参加してくる親子のなかで、都合がつく親が見守り、世話をする世話役となって運営されている点(世話役になった親の会費からスタッフ費用分が減額される)、さらに、関係者や協力者が大人サポートスタッフ、ボランティアスタッフとなって見守るなど、日常活動において、メンバーの協力体制が整っている。

 固定した活動拠点が定まっていなくとも、まずは、「活動の継続」という姿勢は、今後の活動を維持していくエネルギーを感じた。

 不登校状態の子どもたちは2022年度およそ30万人という。不登校支援の輪が広がっており、藤沢市でも行政と支援団体、地域がつながり、誰もが安心して自分らしく学んでいける環境を広げていきたいと、複数の支援団体でネットワークを立ち上げ、相談対応や情報提供、啓発活動など、さらなる活動を模索している。

(佐野 充)