NPO法人ドリームエナジープロジェクト

 全員参加による地域未来創造機構では2025年度にWEBアンケートを行うとともに、20のアソシエーションにヒアリング調査を行いました。その内容をアソシエーション情報でご紹介します。(情報は取材時のものになります)

理事長: 内海智子

設立年月:2013年5月

設立の目的:●ダウン症や自閉症など知的ハンディのある子どもや若者が持っている可能性を伸ばすための「学びと体験」の場づくり

●社会が持つ「知的障がい」に対するイメージを少しでも良くするための活動推進

主な活動内容:<主に3つの事業>

① ドリプロスクール:知的ハンディのある子どもや若者を対象にしたウイークエンドスクール

② 公演:ダウン症や自閉症など知的ハンディのある人たちの素敵で楽しいところをつめこんだ演劇や、独自性を打ち出した音楽の公演

③ お仕事チャレンジ支援:地域住民の協力を得ながら、近所の事業所やお店でお仕事体験をするプログラム

取材日:2025年6月18日

取材者:熊谷百合子(かわさき生活クラブ生協)  菅原順子(全員参加による地域未来創造機構)

画像はホームページから転載

NPO法人 ドリームエナジープロジェクト



障がいの可能性や魅力を発信したいという思い

 内海智子さんは、息子がダウン症と診断され、「ちゃんと育てられるのか」と不安が募る日々を過ごしていたころ、同じ障害のある俳優が主演する仏映画『八日目』に出会った。カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞した彼を見て、ダウン症があってもこんなに素晴らしい表現ができるのかと心底感動し、地元の映画館に働きかけて上映も行った。当時、日本のテレビ番組に障がい者がでてくることはなかった。この映画と出逢い、「ダウン症」という障がいの可能性や魅力を発信することができたことがその後の活動の原点になったという。

 その後、障がい者と健常者が同じ舞台に上がるミュージカルグループの神奈川校を立ち上げ、また知的障がい者の芸能プロダクションの立ち上げ、運営にも関わった。歌やダンスが好きな息子も市民ミュージカルや演劇の舞台に出演してきた。障がいがあっても機会さえあればいきいきできるということをみんなで共有できないかと、その後2013年にNPO法人ドリームエナジープロジェクト(ドリプロ)を立ち上げた。

 


3つの事業について

ホームページから転載NPO法人 ドリームエナジープロジェクト

ワークショップ&交流カフェタイム

障がいがあっても機会さえあれば驚くほど成長する

 ドリプロで最初に始めたのは、ドリプロスクール事業。現在、歌、ダンス、演技、己書、タブレット、英会話、コミュニケーションの8講座を開講している。楽しいことが第一、一人ひとりの個性を理解してくれる講師をお願いしてレッスンを1年続けると、1か月に1回だが、発表会や作品展なども行い、その積み重ねで子どもたちは驚くほど成長するという。

 2016年、17年、19年は「21番目の素敵な出逢い」という演目で、知的にハンディがある人たちの歌、演奏、演劇、演舞を行い、大変好評を博した。元ライターの内海さんが脚本をつくり、当初は、うまく話せない子のために、ナレーションに合わせて身振りや表情、短いセリフでの構成を考えていた。ところが、練習するうちに彼らのセリフがだんだん聞き取れるようになり、ナレーションが必要なくなってしまい、さらに、顔を上げられなかったり、囁き声だったりした子たちが、励まされ褒められると目を輝かせて喜び、自信をつけていった。

 2021年のコロナウィルス流行による緊急事態宣言下でも出演を工夫した「凜と生きる」を実施。2024年の3年ぶりのドリプロ演劇公演は「凛と生きる」の脚本を一部書き換えた新しい作品として、副題「いのちの星に生まれて」を冠した進化系再演と精力的に活動している。


街に出ていって交流する 

 今年5月に藤沢市内にある「カフェノビシロ」という喫茶店を借りて「ワークショップ&交流カフェタイム」を開催。今回初めて街の中に入って地域の人たちと交流する機会をつくった。正直、ダウン症や自閉症のある若者たちが初めて出会う人たちと交流できるのか若干の心配はあったが、きっと彼らならできる!と・・。話のきっかけづくりにメンバーの自己紹介シートをつくり、店内を2つの島に分けて、ひとつは交流テーブルで、ドリンクとスイーツを楽しみながら交流タイム。ひとつは「己書」(心のままに描く書)のワークショップを、訪れた人が交互に体験した。息子の内海隼吾さんは、カフェノビシロのバリスタだった方直伝のコーヒーを淹れるなど、地域の人たちと交流する貴重な機会となった。

 ドリプロの主な活動資金は会費(正会員と賛助会員)と寄付、ドリプロスクールでの月謝などのレッスン料がメイン。協賛金、助成金は獲得しにくいという。昨年、ドリプロスクールメンバーの作品をカレンダーに仕上げて販売したところとても好評で、今後もっと販路を広げたいと考えている。


2025ドリプロカレンダー

やってみないとわからないことをやってきた

 ダウン症の子どもを授かったことで、受け身にならず、自らの気づきを行動に移してきた内海さんのバイタリティーに敬服した。知的障がいがある人たちは「できない」ことが当たり前なのではなく、潜在能力の高さを甘く見てはいけないことを知った。多くの障がいがある子どもの親は、守りに入っているか、波風が立たない穏やかな日常のみを望んでいるのではないか?と考えがちだが、子どもの可能性を信じて進めてきた内海さんの活動をおおぜいの人たちに知ってほしいと思った。「楽しくがんばる」をコンセプトに子どもたちの笑顔は耀き、周囲の人たちは障がいのある人たちの可能性に気づく。やってみないとわからないことをやってきたことを評価したい。引き出しはたくさんある。おおぜいの障がい児者の家族に内海さんの活動を紹介して、支援者も増やしたい、一緒に夢を見ていきたいと感じた。いろいろな人たちを巻き込んでつくり上げていき、益々すてきなプロジェクトになるように、まちの中へどんどん出ていきましょう。それができる人たちです。

       (くまがいゆりこ)