NPO法人赤ちゃん食堂プロジェクトままな

 全員参加による地域未来創造機構では2025年度にWEBアンケートを行うとともに、20のアソシエーションにヒアリング調査を行いました。その内容をアソシエーション情報でご紹介します。(情報は取材時のものになります)

代表理事:菊地愛美

設立年月:助産院開業 2022年4月 法人設立2024年 7月1日設立

設立の目的:ママと赤ちゃん(離乳食)の食を通した産後子育て支援・居場所活動。

産前産後から離乳食期までの親子を食と人のつながりで支援し、誰もが孤立することのない社会の実現をめざします。

主な活動内容:・赤ちゃん食堂(助産院の一室、地域の飲食店で3か所)計4か所。

・全国の赤ちゃん食堂立ちあげ支援。普及啓発。(市民活動、保育施設や助産院等)

・困窮者へのフードパントリー(ヒアリングの上、ミルク・オムツ、離乳食等の発送)

取材日:2025年7月10日

取材者:上田祐子(市民連帯経済つながるかながわ)  田中真人(参加型システム研究所)

画像はホームページから転載

NPO法人 赤ちゃん食堂プロジェクトままな



赤ちゃん食堂を通して、誰も産後に孤立しない社会をつくりたい

 助産院の開院にむけて、産後ケアニーズのアンケート調査(825世帯)をしたとき、産後ケアを受けるために1,000円も出せないとう回答が1割ほどあった。アンケートの中で「子どもと離れ自分の時間を持ちたい」「人と話したい」「ゆっくり食事したい」という母親のニーズがあることもわかった。こうしたママ達の声を踏まえて2022年4月、「子育てサポートハウス 助産院mamana.house」を開業。お産を扱わない助産院。産前産後の親子支援に特化した民間の子育てサポートハウスを開設。

代表の菊地愛実さん


子育てを孤立させず、つながりのある地域づくりのための取り組み

○子ども食堂の赤ちゃん版、離乳食を無料提供する「赤ちゃん食堂 ままな」は、日本初の取組み。離乳食完了期までの赤ちゃんとその家族の“食と育児”の駆け込み寺として、産後の親子が孤立しない居場所づくりを行う。

○赤ちゃん食堂のニーズが多いため、地域の協力飲食店(3店)でも出張赤ちゃん食堂を行っている。それでも月2回計30枠の申込みが5分で埋まり、利用できないママも多い。お店では離乳食のみ法人で用意し、大人の食事はそれぞれのお店の食事を提供している。お店にとってもメリットがある。

○困窮し、制度の隙間で困っているという問い合わせが全国から来るようになった。こうしたニーズに応じたパントリー活動(発送等)も始めた。ベビーパントリーは、昨今オムツやミルク、ベビー用品が値上がりし、ギリギリの生活をしている親子が増えている。フードバンクや民間企業から支援を得て生活に困りごとを抱える家庭にミルク・オムツ・離乳食・ベビー服などの育児用品や食品を無料で届ける取り組みを行っている。

○「子どもも大人も主役になれるイベントをしたい」と地域の有志で実行委員会を形成。赤ちゃんから大人までが楽しめる寒川を中心とした子育て応援イベント「さむかわ天才万博」を2023年、2024年に開催。移動動物園やマルシェ、駄菓子屋Rock(駄菓子が降るライブ)、キッチンカー、ワークショップなど企画が盛りだくさん!

○全国各地に同じ志を持つ各団体とネットワークを構築することで産後の孤立を防ぎ、赤ちゃんの成長を支える地域の拠点づくりにも取り組む。わずか3年の間に1都1府12県、32市町村から赤ちゃん食堂開設の相談や見学の依頼が来ている。全国の市民活動、助産院、助産施設へ拡がり、2025年9月現在で赤ちゃん食堂は43ヵ所に!

 


認定NPO法人の取得を視野に

○NPOの活動は基本的には補助金や寄付でやりくりしている。協力事業者を募りたいが、いまはまず実績づくりを優先課題としているという。赤ちゃん支援はマンパワーが必要だが、人に使える補助金がとても少なく、制約も多い。

○「子育てにネガティブな感情を持っているママたちが、赤ちゃん食堂などを通して、子育てが楽しい、2子3子が欲しいと思えるようになったり、復職したといった話を聞くとうれしい。活動を通して多くの方との出会い、つながりができている」と菊地さん。この活動はパイオニアだと捉えていて、寄付を増やしていくために認定NPO法人の取得を考えているという。


ヒアリング担当者の所感

現地で食堂に参加している親子が笑顔で交流している様子を見学し、印象をお伝えすると、「皆さん食堂に来るようになって元気になったんですよ」と菊地さん。さらに「赤ちゃんの命を明日につなぐ事。母親からのSOSを受けて、取りこぼしのないようにと対応している。少子化社会で『産むこと』が病院に集約化が進み、助産院が廃業に追い込まれている。全国の助産院が産後ケアに加え、ママどうしや地域をつなぐ場「赤ちゃん食堂」を取り入れることで、助産院の生き残りをかけて全国的な取り組みに拡げていきたい」と語った。子育てでだれも孤立させないと始めた「赤ちゃん食堂」をたった3年の間に全国に広げ、さらにその先を見据えた活動を精力的に進めている菊地さんに感銘を受けた。「出産」の現場からも「孤立」「困窮」「貧困」の問題が露わになり、この活動がさらに全国に広がり、各地域で母親や赤ちゃん、その家族をみんなで見守り育む取組みが充実していくことを切に願いたい。      (うえだゆうこ)