楽しい絵本を広める会『子どもの本箱』

“楽しい絵本を広める会「子どもの本箱」”は、小田急電鉄小田原線の開成駅から徒歩約10分、丹沢の山々を望む静かな住宅地の中、以前は医院として使われていた建物を借りて活動しています。未来を担う子どもたちの心を育てる良質な絵本の紹介や販売、親子の交流や地域の居場所活動などを行う、元代表の田口黄施子さん、メンバーの石井紘子さん、太田慈子さんにお話を伺いました。(取材:上石理恵、桜井薫)

  広く開放的な敷地にある手作りの可愛い立て看板が私たちを出迎えてくれました。建物に入ると、壁に沿って販売用の絵本や児童書などが整然と並び、奥の明るい窓の大きな部屋では「大人の絵本カフェ」や「読書会」「絵本の勉強会」が行われています。また別の部屋には文庫活動の「くんちゃん文庫」があり、ここにも海外の選りすぐりの美しい絵本や、子どもの頃に読んだ懐かしい絵本が本棚いっぱいに並べられています。普段は「読み聞かせ」や「親子のひろば」「本の貸し出し」などをしているとのことでした。


絵本の主人公と子どもの目が合う 

 石井さんは、「本屋で平積みされている、出版社が売りたい本ではなく、昔から伝えられていたもの、埋もれてしまっているものの中に良い本はある」ときっぱり。

 良い絵本を選ぶポイントは、主人公と子どもや赤ちゃんの“目が合う“ことだといいます。ディック・ブルーナの名作「うさこちゃん」シリーズでは、確かにうさこちゃんがこちらをまっすぐ見ているように感じてびっくり。子ども自身が主人公と同じ体験をした気持ちになるとのこと。お母さんも子どもと目を合わせることが大切なんだと改めて思いました。また、ブルーナの絵本は多くの色を使わず線が美しいことでも子どもの心に良い効果が生まれるそうです。

 太田さんは昨年この場所と出会って、絵本の奥深さを教わり、それまでは親の気持ちだけで絵本を読んでいたことに気づいたといいます。子どもは直感的に「絵の美しさ」を感じ取っていると話してくれました。


良い絵本との出会いは、心にお友だちができること

 「良い絵本に出会うことは“心にお友だちができる”こと。絵本は子どもの生きる力を育む、前向きになれる、主人公がいつも心にいる、絵本はそのくらい大切なものです」と田口さん。

  どうしたらこのような活動が始められますか?と問うと、「まず、自分たちが良質の絵本をたくさん読み、その良さを感じ取り、子どもたちにこの楽しさを紹介したいという思いを持つことです。その強い思いを持って、絵本集め、場所探し、仲間集めなどを行い、活動が始められ継続できると思っています」と話してくれました。

 


取材を終えて

 今回の取材では、心に響く大切な言葉をたくさんいただき感動が止みませんでした。良い絵本は大手出版社や著名人が勧めるものとは限らない。「子どもは何を望んでいて、子どもの心を育てるのに必要なことは何か」という視点でお母さんが読んであげたいと思うものを選ぶ。一般的に良いとされている絵本の中には道徳的な教えのものも多く、子どもにとっては「怖さ」「不安」な気持ちにつながるものもある。親は何かを伝えよう、教えようとするけれど、実はそれは親の自己満足でしかないこともある、親の押し付けで心は育たないということ等々・・・の共通の感想ですが、「子どもの本箱」の活動やこの場所をもっと多くのママたちに知ってもらい、心豊かな子育てにつながってほしいと思います。

 地域で活動するアソシエーションのメンバーには生活クラブの組合員も多く、今後も地域の組合員と連携した活動の場をつくり、このような話を地域のお母さんたちにもたくさん聞いていただき、優れた絵本や、絵本を通した親子のふれあいが生まれるとよいなと感じました。

(かみいしりえ)